「墨付け」という作業があるんです。
世間一般にいうと、柱に使う材料にカットする位置を示す印を付ける作業です。
例えば、材の端から1600ミリの所に印を付けるような作業のことを言います。
それだけなら、 そんなに大変な作業じゃないんだけど、うちで作る家は、
柱と柱を接合する部分に「ほぞ」という溝を掘る作業からするんです。 「ほぞ」っていうのは、LEGOブロックをイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
図のように、凸の部分を作る作業と、凹の部分を作る作業から始めるんです。 その凹凸も一律の規格のようなものがあるわけじゃないんです。
簡単に言うと、部屋の作りや柱の長さによって溝を二つ作った方がいいのか、一つでいいのか…考えるところから始めるのです。
もちろん、使用する木そのものによって強度は大きく異なりますが、この「ほぞ」の具合によっても家の強度は大きく変わってくるんです。その「ほぞ」のイメージが自分の中でできあがるまでが、とても大変なんです。歩いていても、ご飯を食べていてもどう組み合わせたらいいのか?って考えていますから。
一旦、全てを考えても全体のバランスをみて白紙に戻すなんてこともありますから、これをしている時が一番大変かもしれません。しかも、目に見える何かが残る訳でもないですし、一日が終わってから「今日は一体何ができたんだ?」なんて振り返ると辛くなることもよくありますよ。
大変な仕事って、「墨付け」じゃなかったですね。「墨付け」の前の段階ですね。
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